大阪はかろうじて市廃止を免れた

岩下 啓亮
Nov 1, 2020

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公示前から住民投票当日までのツイートを注釈も添削もしないで順番に並べてみた。

10月10日

首長2名と在阪メディアによる大阪で起こっている都構想=大阪市解体の問題。正直どこから着手していいものか、戸惑っている。あまりにも酷い維新のやり口に、いったい何れをリツイートしていいものか分からないのだ。が、これが全国的に波及するのは非常にまずい。近々たくさんリツイートするからね。

例えばそうだな、<政令指定都市の大阪市を廃止して4つの特別区に再編する、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が大阪市の有権者、220万人余りを対象に今月12日告示、来月1日投票の日程で実施される>ことを国民の何割が正確に知っているだろうか。1割にも満たないのではなかろうか。

折しも大統領選挙の絡みで今月20日からツイッターのリツイート機能が制限される(ただし引用リツイートは可能とのこと)。大阪都構想関連のツイートも意識的かつ早めに拡散する必要がありそうだ。ともあれ吉村・松井コンビの維新に賛成可決の成功体験を与えてはならない。その弊は必ずや全国にも及ぶ。

これ、冗談抜きで大阪府以外の街でそのへんを歩いている人に訊ねてみたら、たぶん殆どの人が「11月1日に大阪市廃止の賛否を問う住民投票? 聞いたような気もするけど、よく知らないな」と答えると思う。大阪でどれほどひどい情報寡占が行われているか、承知の人は、全国的にはとても少ないはずだ。

10月11日

2015年5月17日、大阪市を廃止して5つの特別区に分割する都構想の是非を問う住民投票が行われ、反対70万票、賛成69万票の僅差で否決、橋下徹市長が退いたことは皆さんもご存知だろう。

にも関わらず、翌16年4月には早くも2回めの都構想に向けて府市の共同部署・副首都推進局が設置され、 府市は58億円もの経費を使って大阪都構想を推進、在阪メディアは連日のように吉本興業のタレントを使い、吉村松井ふたりの維新首長が各局の番組をはしごし、都構想がもたらすバラ色の未来図を喧伝する。前回反対だった公明党も賛成に転じた。結果、政令指定都市である大阪市がなくなるかもしれない。

大阪市を廃止して4つの特別区に分割するという「大阪都構想」に反対する。

明日12日に住民投票が告知される。住民ではないぼくだが、大阪府大阪市の皆さんの迷惑にならない程度に、リツイートと基本情報の確認をもって、大阪都構想の無意味さを広く知らせていきたい。

(返信)市や町によって微妙にサービスが違うんだよ。住所の異動や親の勤務時間によって預かり保育や給食費の補助対象も変わる。これを是正するには、府が都がって話ではなく、国が包括的に基準を定めるしかないんだ。全国で同じ補助が受けられるはずの幼保無償化は、条件なしで整備されるべきだ。それを、国の施策だのに「地域の事情によって」地方自治体に丸投げすることが問題なんだ。うちは実現しました、よそはまだですと自慢するのは滑稽だし、的外れ。

菅義偉と吉村・松井の連携によって、今後「地方でできることは地方でまかなえ」の風潮が加速するでしょう。するとどうなるか。財政の優劣によって競争が生じ、格地域間格差がますます広がる。いくら国民を個人番号で紐づけしようと、住む地域によってサービスが異なるような「行革」など全く無意味です。

10月12日

動画をみた。どこの差し金か知らんが、ひどいことしやがる。さあ露骨で厚顔無恥な、公権力による弾圧の始まりだ。心の準備はいいか、くれぐれも対岸の火事と思うなよ。“Who’ll Be the Next in Line” 。お次はきっと、ぼくやきみの番。

大阪が今どんな状況かを、動画はまざまざと可視化していた。山本太郎はもちろん、大阪のことが心配だ。恐ろしく邪悪で禍々しい者どもが、自由で活発な街・大阪を牛耳り、昏い影を落としているようにみえる。その影を一掃することが、市街に真の安寧と繁栄をもたらす術ではないか。11/1、反対の一票を。

10月13日

今回の、山本太郎の発言を警察が妨害して街頭演説を止めさせようとした事件と、維新と2名の首長がしゃにむに推進する「大阪市廃止特別区設置の(今後は「大阪都構想の」と言わないでおこう)住民投票」には、密接な関連がある。要は、市廃止に反対を唱える山本太郎を、見せしめのために取り締まったのだ。

大阪市廃止→特別区設置→都構想への道筋に反対する「市民」を萎縮させようと「彼ら」は公権力を使ったのだ。直接指示の証拠はないし、市長はしらばっくれているけれども、連中の意趣を汲んでの「弁士中止」であることは見えみえだ。何が「二重行政の解消」だ? 「権力強化に邁進」じゃないか。

その構造を暴いたのが、戎橋の動画だ。大阪で今なにが起こっているのか、他の地域に住まう私たちもようやく理解できたのではないか。だとしたら府警を動員しての威圧は彼らの失敗であり、汚点となるだろう。そして「大阪市廃止/特別区設置」反対が多数へのターニングポイントとなるだろう。

(返信)共産支持者の一部にも同様の反応がありますね。無許可の街宣は社会秩序を乱す行為だとの見方。一見もっともらしいけども、自らの定めた規律の枠に囚われ、権力の片棒を担いでいることに、あまりにも無自覚。

そのルールは誰のためのもの? その決まりは誰が作ったもの? その制度に従うことで、その制度を疑わないことで、きみは社会秩序を乱すと見做した者を、自らの視界から除外しようとしている。その正義に一点の曇りもなく、その眼差しは涼やかに見えるが、ぼくにはどこか冷淡にみえる。残念だ。

(返信)大阪市廃止に反対の中心ともいえる、地元で地道に署名活動やポスティングをなさっている方々ではなく、いわば外様ともいえる山本太郎を狙い打つことで、萎縮効果が十分に得られると踏んだのでしょう。それが見せしめだと記した理由ですが、仰るとおり、府警による取締りは逆効果にはたらくと思います。

過激だとも異端だとも思わないが公権力が山本太郎を狙う理由はよく分かる。<叩きやすいところから少しずつ侵食され>るという指摘の通り、共通目的の淡き連帯に不協和音を生じさせ、意思疎通を分断することで、彼らの目論む構想に反対する勢力を削ぐためだ。

10月14日

大阪市廃止における「二重行政の解消」という理由づけは、地方にとってよりも、むしろ国の財政に都合が良いのではないか。これが維新のみならず政府の意向の反映だとすれば、今回の住民投票の結果次第では他の地域にも影響を及ぼす。平成の大合併みたいな地方自治体の合理化=解体が進むかもしれない。

大阪“都”構想にたいするなんともいえないイヤな感じ。行政改革の名のもとに推進されるであろう行政の民間委譲/委託の加速化。これらと菅義偉のスローガンである自助・共助・公助は通底しているように思えるのだが。ぼくの漠然とした懸念を裏づけるような論理を、誰か優秀な方に解き明かしてほしいな。

10月17日

はて、政令指定都市になって、熊本市になにか良いことはあったかな。総合出張所での手続きは限られるし、4区役所に赴くも遠くて不便だし、職員は非正規の割合が増し、外注頼りで事務処理能力は低下する一方だし。大規模な都市計画ばかりが華々しく広報されるが、サービスの質はお世辞にも良くないよ。

よくスケールメリットというが、たとえ行政の規模が大きくなって生産性や経済効率が上がったとしても、肌理細やかなサービスや迅速な対応が疎かになるのでは元も子もない。華やかな事業のみに予算が費やされ、市民の暮らしに密着した地味なサービスが削られてしまっては、スケールアップの意味がない。

念のために断っておきますが、これはあくまでも政令指定都市の否定ではありません。人口73万人の地方都市・熊本の事情です。275万人という人口を抱える大阪市は政令指定都市であらねばならないと思うし、大阪市廃止・特別区設置に、ぼくは絶対反対です。

10月19日

引用記事の内容を批判したツイートをリツイートしようとすると、

[まず記事を読んでみませんか? 見出しだけでは全体像が見えない場合があります。リツイートする前にTwitterで記事を読むことをおすすめします]

と表示されるようになった。

ほら、こんなふうに。余計なお世話だ。

10月20日

大阪市廃止に反対している大阪市民のみなさんを応援しています。維新の首長ふたりは文化・教育・福祉の分野をないがしろにしている。行政サービスは4区分割で低下の一途をたどるだろう。「大阪モデル」は全国各地における行政改革の指標にもなりかねない。他所ごとでは済まされない。だから反対です。

10月25日

保育所等の入所ルールが自治体により異なれば、どれだけ保護者や施設が困るか、大阪市廃止賛成の方々は想像していない。<それぞれの区が独自色を出そうと異なる基準を設ける>ことで異動の際の手続きが煩雑になり、認定や補助の不公平が生じるので、特別区同士で行政サービスを競争するべきではない。

大阪市廃止の件、さっきは弱腰な意見を吐いてしまったが(消去済み)、前にリツイートした「都構想反対派は既得権益層」なる乱雑な括りをするMBA教員のコメントを見るにつけ、彼らは公益や庶民の暮らしなんかを顧慮していないことが丸わかりなので、これはやはり [#大阪市廃止反対 ]だ。

政令指定都市を特別区に4分割した場合、増員しないとなれば、とうぜん職員は今よりも事務処理に忙殺される。ふたりの首長は、人員不足を民間委譲・委託で賄う皮算用だろうが、微細なチェックが不可欠である行政事務をあまりにも簡単に考え、人材育成にかかるコストを甘く見積っているとしか思えない。

10月26日

相手の土俵に乗る格好となるからあまり単純で粗野なことは言いたくないのだが、11月1日の「大阪市廃止・特別区設置 住民投票」で、反対が賛成を上まわれば、威張りくさった吉村松井と維新議員らの鼻をあかす絶好の機会となる。大阪市民の皆さんには、是非とも反対票を投じてもらいたい。#大阪市廃止反対

在阪メディアの維新一色、大阪都構想賛成キャンペーンの寡占状態は、何年も続いているという。ツイッターで知ってもなお信じがたい、が他地域の素朴な感想だ。しかし、この恐ろしいメディア支配は、憲法改メなどにも援用が可能だ。今回の大阪市廃止で賛成が上回るような、成功体験を与えてはならない。

直近の毎日新聞世論調査では、<反対が43・6%で、賛成の43・3%を上回った>。これはメディア支配の及ばぬ、大阪市民の自発的な「廃止反対」行動が成果をあげつつある証左だろう。が、楽観は禁物。反対多数だからと投票を怠れば形勢は一挙に逆転する。他の地域は見守るしかない。大阪市民、頼んまっせ!

10月27日

(返信)<都市の発展を促し、都市間競争に勝つ>この言いぐさにぜんぶが含まれていますね。市の存続をも「勝ち負け」で判断する思考。市長の「このままでは負ける」発言もそうですが、勝って得られるものより失われるもののほうがはるかに多いのに。何でも勝ち負け。維新の想像力のまずしさに啞然とします。

10月28日

(返信)「大阪市廃止・特別区設置住民投票」の投票率を下げる目的があるのかしらん? と疑ってしまいます。感染者数も、為政者や首長の匙加減(都合)で人数が公表されているように思えてなりません。

IR、万博、リニア、スーパーシティ。そんな賑やかしのために市を廃止しようというのが、維新と2首長の真のねらいだ。産業界のみが潤い、市井に住う人びとの暮らしを顧りみない地域振興に未来はない。

(返信)上山センセが泣きを入れてきたのに対抗して(笑)、吉村・松井の企みをあえて単純化してみました。彼らの目的は見せかけの繁栄。そこに「都市」本来の概念は微塵もありません。底上げの・ハリボテの未来図から、文化もない・緑地もない荒凉たる風景が浮かびあがってくるようです。

10月29日

(返信)アルファブロガーちきりん(ぼくはブロックされている)氏が、

<東京やシンガポール、上海、バンコク、ジャカルタなどと並ぶ勝ち組都市を目指し、衰退を食い止めにいくのか>

を選択するための住民投票だとツイートしていますが、その「勝ち組都市」というイメージの提示がもう、なんとも陳腐で。繁栄の華やかなりしところしか照射していないんだもん。高級ホテルに泊まった観光客が、発展している国際都市と錯覚するようなもん。

(返信)ラスト一行の、<もう投票やめたら?>はマズいですね。<もう投票(に行くのを)やめたら?>と解釈されても仕方ない。大阪市廃止・特別区設置の住民投票については、ぼくもずいぶん気をつけて発信しています。ちょっとした匙加減で、相手(この場合は賛成派)を利する内容になりかねないから。

昨日の拙ツイートは極論かも、と思ったが、

<東京やシンガポール、上海、バンコク、ジャカルタなどと並ぶ勝ち組都市を目指し、衰退を食い止めにいく>

というアルファブロガーのツイートを先ほど見て、やはり連中の喧伝する「大阪“都”構想」は希望的観測、華々しさを追求した楽観論と再認識した次第。

もちろんぼくは、<投票やめたら>などという、莫迦な誘導はしない。大阪市に直接の知人はいないが、どうか何卒、住民投票に足を運び、反対に一票を投じてくださいとお願いするしかない。事は大阪のみならず、全国の行政にも波及する。市民の皆さんの賢明なる判断を期待して。 #大阪市廃止に反対します

10月30日

国家公務員を目指す優秀な学生が少なくなっているそうだが、松井一郎の財政局長への仕打ちをみれば、地方公務員上級のなり手も減っていくのではないか。だって理不尽きわまりないじゃないの。トップの意に染まない数字を出しただけで詰腹切らされるなんて。あんな市長の元で働きたいって誰が思うかね?

【毎日】記事より。

<人口段階のみの補正を適用することで算出した。ただ市長に説明した折(中略)ありえない架空の数字だという厳しい指摘を受けた>というが、<他の要素を捨象して算定する>ことで虚飾を取っ払った“都”構想の実像が見えてきたゆえ、取材も発表も意味がある。

この件について、毎日新聞は本当によく頑張っている。記者は本来こうあるべきだ。恫喝や陽動に怯まず、権力の不正やごまかしを見逃さぬ、WatchDogの使命を全うしている。

ぼくが心底おそろしく思うのは、「大阪市廃止・特別区設置の住民投票」についての報道が、あまりにも少なすぎることです。選挙のときと同じように、なるべく取り上げないようにしているとしか思えない。米国大統領選よりも扱いが小さい。いま大阪で何が起こっているか、殆どの国民は知らされていない。

だからしつこくリツイートしているのです。大阪市廃止に、反対。

(返信)思うに、<既存インフラの維持以外の公共事業は投資効果が無いから削る>という発想が、現政権や維新の推進する「勝ち組都市」の原動力になっている。地域インフラの補修復といった地道に継続すべき事業を削って、派手にアピールする振興事業ばかりに予算が費やされる。これを野党党首が裏支えする悲劇。

今朝7時の民放が一斉に・詳細に取り上げたのは、若手人気俳優の交通事故のニュースだよ。そっちが一般的なニュースバリューがある、のだろうが、先日まで吉村洋文大阪府知事を「未来の首相にふさわしい」と褒めそやしていた既存メディアは、とうぜん今回の大阪の住民投票も詳報すべきだと思うが、ね。

10月31日

大阪市の特別顧問一覧で「副都市関係」の欄をみてごらん。おなじみ上山氏を筆頭に、原、岸、猪瀬と、いわゆるレントシーカーの揃い踏みだ。彼らの構想する都がどんなものか、おおよそ想像つかないか。大阪市を廃することでどんな超過利潤が生じるか、雲を掴む話じゃなしに説明してもらいたいものだな。

11月1日

日曜日朝の『サンデーモーニング』。番組開始から30分が経過したが、未だ大阪市廃止・特別区設置の住民投票についてを報じない。米国大統領選には20分近くを費やしたのに。どちらに傾くのもうまくないとの判断だろうが、この構成には疑問を抱く。

大阪市は、好きな街だ。活気にあふれ、人情にあつい。ありふれた感想だろうが、ホント行くたびにそう感じていた。奥深く、人懐っこい街の灯を、どうか消さないでほしい。投票しめきりまで、残り2時間あまり。まだ間に合う。大阪市の存続を、心から願います。#大阪市廃止に反対します

はらはらした。心臓に悪い。だけどかろうじて市の廃止はまぬがれた。ともあれよかった。今回ツイッターで、大阪の市民が文字通り「草の根」で動いていたことを知り、組織の指示ではない、市を存続させたいという個々の強い思いが伝わった。それが反対多数の結果に表れた。みなさん、がんばったもんね!

(返信)いえ、大阪の皆さんの懸命の訴えに、つき動かされたんですよ。最初のうちは、よく理解できてなかったもん。とくに在阪メディアの占拠状態は、なかなか信じられなかった。毎日新聞や山本太郎などの活躍もあったけれど、一番の殊勲は、やはりポスティングに勤しんだ方々だと思います。お疲れさまでした。

鰯 (Sardine) 2020/11/02

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岩下 啓亮
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Written by 岩下 啓亮

鰯です。熊本在住。イワシ(Sardine)とお呼びください。Mediumを日本語と英語の練習帖として活用しようと思う。Medium以外では、こちらを回遊しています。Twitter → @iwashi_dokuhaku はてなブログ『鰯の独白』→ kp4323w3255b5t267.hatenablog.com

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