独特のエロキューションが
あまり好みではなかった
が、今回のシングルは
素直に 心にしみた
この歌は
2021年の4月23日にリリースされた
歌詞中の「連休」が指し示すように
直近の連休に聞かれることを意識して
書かれている
今を映しだす歌詞
今だからこそ希われる青空の下の自由を
情景描写の積み重ねは
デビュー当初の「情けない週末」を
対をなす
https://open.spotify.com/track/2qBvqZPFCdhWiyHLTOIMCR?si=pw710X5jTSyf50RlF1bmjw
そして、その
情景描写のクレッシェンドのきわまりに
“この街で笑って この街で泣いた”
という一行が挿しこまれる
ぼく(あえてぼくと書く)はかつて
歌詞を書いていたとき
プロのディレクターに
「だから“この街”とか、もう古いって
今は当事者同士の 関係性についてを
描いた歌詞が 主流なんだから!」
と言われたことがある
そんなことを思いだした
けれども
佐野元春は なんと軽やかに
“この街”と 歯切れよく 確信をもって
発声するのだろう
それは、この
出口の視えない今の状況下に
必要な言葉は何なのかを
探りぬき 選びぬいた
結果なのだろう
この歌がコロナ禍における
2021年の春に歌われたことに
意義がある
そう、
ポップスはいつも
トピックをクリアカットに抽出する
音楽の形式を使った
媒体なのだ
表現者は
古びることを 陳腐化することを
怖れてはいけない
いつでも 今の刹那を
鮮やかに 表してほしい
今日ぼくは
この歌に出会えて
とてもしあわせだった
鰯 (Sardine) 2021/05/09