自由への道(バート・バカラック「サウス・アメリカン・ゲッタウェイ」)
こないだ、ツイッターでジャズコーラスの話題になって。数人のアカウントと会話したんです。
上海リルさんはマントラ(マンハッタン・トランスファー)が苦手だと言う。私は同意し、でもシンガーズ・アンリミテッドは好きだなと言うと、フォー・フレッシュマンの方が良いよと言う林建紀さんが現れ、では、ランバート・ヘンドリックス・アンド・ロスは?と私が問うと、あれは人工的の極みでは?と返された(と、さらりと記していますが、おふたりとも音楽にはたいへん造詣が深いんですよ)。
こういう夜半のやりとり、嫌いじゃないけれども、翌朝、なんで私はこんなにジャズコーラスが好きなんだろう?と、そのきっかけを考えていたときに、子どもの頃に好きだった曲のことを、ふと思い出したのです。
確かTKU(テレビ熊本)の天気予報とか番組間の箸休めに、この音楽がかかっていた。宮崎の日南海岸の風景が延々と流れていてさ、夏休みのころ、退屈だなあと思いながら結局ボケーっと観ていたっけ。
で、こんなツイートを投稿してみた。
すると、30分もしないうちに、こんな答えが返ってきた。
映画『明日に向かって撃て』のサウンドトラック盤に入ってる曲だと思います。音楽はバート・バカラック。邦題「自由への道」(合志市市議・上田欣也さん)
ありがとうございます!これです、これ。しかし、パート・バカラックだったとは、盲点でした(B.J.トーマスの主題歌しか知らなかった)。いやあ、恥を覚悟で歌ってみるもんだ(私の返信)。
これが、その「自由への道」だ。
しかし、このコンチネンタルでサウダージなジャズワルツ、私はスウィングル・シンガーズ(フランスのパリを拠点としたア・カペラグループ。ミッシェル・ルグランの姉、クリスチャンヌが在籍)か、セルジオ・メンデスとブラジル66(エドゥ・ロボの“Casa Forte”を想起されたし)かなと睨んでいた。しかしバート・バカラックとは、油断していた(何が?)。
以前こんなブログも書いていたのに……
たぶん、B.J.トーマスの『雨にぬれても』アルバムを持っていたから、肝心のサウンドトラックを聞き逃したのである。
でも、まあ、この歳になって曲名が判明する喜びはナニモノにも代え難い。
Shazamなどの音楽検索アプリはたくさんあるようだが、こういう形で長年の謎が解けることこそおもしろいと思うんだ。
現に私は、他にも不明な曲名をインターネットで面識ない方に教えてもらっている。森繁久弥の「青春が花ならば」(メロディーと歌詞を書いた楽譜をアップした)とスパンキー・アンド・アワ・ギャングの「レイジー・デイ」(これもピアノで弾き語りしてみた)のふたつである。
えー、この話にオチはありません。今、行きつけのカウンターバーで、この話題に触れながら、つらつら書いているのです(それと、今日はいろいろありましたので、かなり酔っぱらってもおります)。
じゃ、今夜このへんでお開きしますね。鰯 (Sardine)2019/09/07
バート・バカラック(Burt Bacharach)は2023年2月8日に、ロサンゼルスの自宅で自然死のため死去した。享年94。
【2023/02/18の追記】
ひょっとしたら、TKUで箸休めに流されていた「サウスアメリカン・ゲッタウェイ」は、こちらのレコードかもしれない。いや絶対にそうだ! 子どものころに観た、モノクロ動画の青島海岸が鮮やかによみがえる。
このニュー・クリスティ・ミンストレルズのヴァージョンは、DJで音楽評論家の真鍋新一さんが編んだバート・バカラックのプレイリストに入っていた。マストドンで知ったのだけど、すばらしい選曲なので、一聴をおすすめする。
【さらに追記】
おおっと、これは!
(ちょっと長めのリプライご容赦を)
私が「サウスアメリカン・ゲッタウェイ」を知った経緯は、このMedium記事に書いておりますが。
先日、真鍋さんが編集したプレイリストにニュー・クリスティ・ミンストレルズによるヴァージョンがあって、私は「こっちがテレビで流れていた方だ」と喜びましたが、このデューク・エイセスと伊集加代子によるヴァージョンを聞いて、「むむっ、こっちかもしれないぞ」と考えを改めました。
なぜなら白黒の画面に映しだされていたのは、宮崎は青島海岸の風景でしたから、ヒット曲「フェニックス・ハネムーン」が持ち歌のデューク・エイセス版を使っただろう、と考えるのが自然ですものね。
ともあれ、ベースの効いたカッコいい演奏ですね。フーガ展開のコーラスもバッチリ決まってるし、この「サウスアメリカン・ゲッタウェイ」は最高です。掘り下げていただき、ホントに感謝です。2023/02/19